トンネル情報化施工統合システム T o p L u n
近年多方面で注目を浴びているUAS(Unmanned Aerial System)で撮影された画像から、広範囲の3D地形モデルを簡単に作成することが可能となりました。
常に変位する地山を相手に施工するトンネル現場では、現場情報を出来るだけ早く収集して施工に繋げる必要があります。TOPLUNのオンラインによるリアルタイム計測では、計測結果を迅速把握し、また事務所からの遠隔操作により現場へ足を運ぶ手間を省力化でき、また各種の計測オプションをとり揃えており、現場(坑内坑外)の現状を視覚的に管理可能なWEBカメラシステム、低土被り部においてはその地盤の3次元変位をリアルタイムに自動計測するシステム、各掘削断面及び覆工断面を点群で計測し今までの断片的な計測管理から面的な全体計測管理が可能になった3Dスキャナーシステムなどをトンネル現場諸事情など考慮し、総合的な情報化施工が可能です。
1.トップラン現場システム特色・効果
通信制御
トップランシステムでの通信は、通信ケーブル配線を使用しての基本的な制御から無線仕様まで、現場条件に応じて多様化。 現場全体でのネットワークでは、坑内電話ペア線を使用したオンライン、無線LANなど様々な現場条件で通信制御が可能です。 トンネル坑内~坑外のネットワーク環境を整えることにより、事務所または遠隔地からの制御及び管理も可能。
三脚移動式計測
常に変位している坑内でのトンネル計測を行なうにあたって、トップラン三脚移動システムでは、後方交会で機械点座標を設置。 使用するトータルステーションは全てモーター駆動である為、全ての動作指示はパソコン上のソフトウェアでの制御であり、ソフト上で把握している測点への誘導も自動計測も可能としている。取得データに関しても必要情報は全てパソコン内に蓄積される。 全ての計測機能において、結果情報はソフト画面上で確認が可能。数値だけでなく感覚的に現場把握が安易な様に図化した表現も行なう。 また、計測実務での失敗(誤測点計測、器械点設定不備、整準ミスなど)への対策もソフト上に盛り込んでいる。これは、計測業務経験がある方は経験があると思うが、事務所に帰ってから使えないデータと発覚し再度現場計測しなければならないという無駄な労力と時間を防ぐ為である。ソフト制御で省力化を図っている。
主な機能
①地表面沈下計測 ②A計測 ①②同様に初期値のみ手動視準計測すれば次回からは前回値まで自動旋回 ③断面計測 計測条件は設定可能。アタリ部をレーザー照射しその場で該当箇所目視確認。 ④支保工計測 支保工の設計位置を予め入力しておき、上半3点、下半2点、インバート1点を計測する事により歩みを確認。 ⑤任意点計測 設計データより計測点の座標・平面縦断・断面情報を即時把握可能 プリズム追尾機能を利用すれば暗い坑内でもスムーズな測量が実現 ⑥逆打ち測量 セントル中心杭や基準点設置などで測点設置したい場合の使用 ⑦補強鉄筋計測 2次覆工前に段取鉄筋の先端を計測することによりアーチ鉄筋までの離隔を指示
定置式計測(自動計測)
通信体系は一般的なネットワークが組まれていれば現場詰所や事務所などからの遠隔制御が可能であり、動作指示及びデータ監視がリアルタイムに行なえる。リアルタイムに計測した変位数値が設定した値を超過した場合は、パトライト点灯や警報音、メール転送などで関係者に発報し早急に現場対策を立てるなどして安全管理に活かされる。また、現場各要所に同じくネットワークを介して監視カメラを配置することにより、データ異常時の現場状況をリアルタイム動画で確認することが出来る。 休工日や夜間施工ストップ時の現場では、定時的に切羽の自動押し出し計測を行なう事により、次回施工スタート時に切羽状態を確認して安全管理をサポートする。
切羽マーキング
通常は、定置式としてトンネル断面天端または肩付近に定置して切羽マーキングを行なう。 留意点として、機械点座標のズレの確認であるが、これに関しては収束済みの固定チェック点へレーザーを照射させる事によりレーザー軸ずれチェックを兼ねて実現している。 トップランシステムでは、施工トンネルの始点から終点までの設計データ(平面、縦断、断面パターン、各基条件)などを予め事務所ソフトで入力しておき、現場定置式パソコンから直接指示、または遠隔操作用ハンディパソコンで切羽より無線指示をして制御する。全パターンのデータが入っているので、切羽を照射すると共にその空き時間を利用して切羽から離れた後続のインバート施工を照射マーキングし、後続吹付け部のアタリ取りなどにも使用可能である。 WEBカメラや坑内PHSを組み合わせれば事務所からの指示+システム制御で、マンパワー省力化施工も可能になる。
2.トップラン事務所システム特色・効果
トップラン現場システムの計測業務で採取したデータを事務所解析ソフトに連携し、各計測項目でデータ処理・解析を行なう。 データ連携の方法としては、三脚移動式システムからのデータに関しては外部メモリ(SDやUSBなど)を使用、定置式システムでリアルタイム計測したデータに関しては現場ネットワークを介してオンラインで事務所パソコンへ連携される。 基本的な計測データに関しては、計測システムで全て取得しているので、そのデータをトップランシステム事務所ソフトで目的に応じた形(データ形式、帳票表現)にすることができる。
地表面沈下計測データ処理
① 経時変化図 一般的な変位経緯グラフを自動作成 Excel出力機能 各項目の表示非表示、線種、線色、切羽進行など設定可能 ②変位矢線図 トンネルを平面的に表現し沈下量だけでなく平面的な変位を把握 各データの表現方法はデータ状況に応じて設定可能 ③分布横断図 各地表面沈下状況を横断的に計測日時の推移で表現 各地表面沈下状況を縦断的に計測日時の推移で表現
内空断面計測データ処理
②断面ベクトル図
地表面計測同様にx,y,zでデータを持っているので断面図上でどういった経緯変化なのかを確認。
③切羽離れ距離による変位量管理
各測点におけるA計測データを切羽離れ(トンネルの径D基準)での最大値表現。条件変更して解析。
支保工・切羽押出し計測データ処理
①支保工計測結果表示
支保工計測データを3面図で表現。タイロッド調整に利用。
③切羽押出し量を経時変化に対して表現。警報ライン設定も可能。
断面計測データ処理
①断面計測結果表示
断面計測 結果表示・解析画面
風管や重機などのノイズデータ処理や断面パターン変更など多種データ整理が可能
②ボリューム計算機能
一次覆工後の現場断面計測データを基にコンクリートボリュームを算出
③ブロックパターン
各断面計測データのアタリ余堀を平面展開図カラー表示
3.切羽観察システム
切羽の画像及びスケッチを時系列に一覧表示します。 また、これらのデータから切羽観察シートを作成して、日々の切羽の状況を管理することができます。
4. 3Dスキャナーを使用したトンネル点情報管理システム
閉塞空間であるトンネル施工ではその断面が設計断面に対してどういう状態であるかを調べる際に、トータルステーションで同一距離程断面の数十点をノンプリズム計測したりします。
これは、トップランなどの便利な計測システムで、自動動作で行なう事が出来るが、計測する断面数によっては多大な計測時間が費やされます。
3Dスキャナーを使用したトンネル点群情報システムは、こういった既存計測事情に対して、計測点情報数を格段に増加させることで全断面情報を提示できると共に、現場計測での作業者の手間を省力化できるという効果があります。また出来形データ情報記録のみならず現場施工への利用としては、アタリ余掘りを現場内で瞬時に把握して施工及び検討が出来、吹き付け断面データから2次覆工ボリュームを算出することによる材料原価管理など、多点群情報を得ることにより、様々な利用価値を生み出し現場をサポートします。
坑内計測イメージ図
専用解析ソフト断面切り出し検証状況